今回は、マンションの遮音について考えてみます。
部屋の中に入ってくる音は、外から来るもの(鉄道や車の音など)、隣の部屋からくるもの、そして上の階から来るものの3種類に分かれます。
外から来る音に対しましては、窓のサッシが、隣から来る音に対しては、戸境壁が、そして、上から来る音に対しましては、床が、それぞれ主に抵抗します。
まず、外から来る音についてですが、これは建物の環境次第と言えます。
鉄道や道路が近くを走っていれば、その音を防ぐために、遮音等級の高い窓ガラスやサッシを使わなければなりません。
サッシの等級には、等級なしから、等級ありのT−1からT−4まで5等級あります。
T−1等級というのは、25等級とも呼ばれ、25db分、外からの音を遮断します、ということです。
要するに、外の音が80dbであれば、窓を閉めると、室内では80−25で55dbになります、ということです。
T−2、T−3,T−4と遮音性能は上がっていき、それぞれ、30db、35db、40db分、遮音するようになります。
但し、T−3以上は、合わせガラスや二重サッシになるなど、普通の窓ガラスではなく、特殊な形態になっていきます。
次に隣の部屋から来る音に関しましては、戸境壁(建築用語で界壁と言います)の仕様によります。
この界壁の遮音性能とは、空気伝搬音に対する遮音性能を示し、D(透過損失)値で表されます。
例えば、隣の家でピアノを弾いていて、その音の大きさが70dbで、こちら側で聞こえる音の大きさが30dbとします。
そうすると、この界壁は40db分の音を遮っていますので、この透過損失の値が遮音性能を表すD値となり、この場合、D−40と表現されます。
D値は値の大きい方が高性能となります。
マンションの壁が鉄筋コンクリートである場合、このD値の目安として、壁の厚さが120mmでD−45,150mmでD−50,200mmでD−55程度です。
住宅性能基準では、界壁の性能を4階級に分けています。
等級1はD−40(壁厚100mm、これは建築基準法の最低ランクです)、等級2はD−45,等級3はD−50,等級4はD−55です。
これから、マンションを購入される場合には、等級3以上(壁厚は150mm以上)は欲しいところです。
以上が、外から来る音と、隣の部屋から来る音に対する、窓のサッシや戸境壁の遮音性能に関するものでした。
マンションを購入する際、上の記載をご参考にして、窓のサッシや戸境壁の遮音等級を売主に尋ねてみるのも良いと思います。
次に、上の階から来る音に関するものですが、実は、マンションの場合、これが一番深刻で厄介な問題となっていきます。
これにつきましては、長くなるので、次の便でご報告致します。